大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ネ)3053号 判決

三 以上認定の事実によれば、被控訴人主張の九九三番の一八の土地は、当初一筆の土地であった九九三番イ号宅地七畝三歩(二一三坪)から分割された九九三番の三の土地の一部であることが明かであるところ、右九九三番の三の土地は、地積三三坪を実測した上で分割されたのであるから、他の土地がこれに合併されないかぎり、地積の増加を来すことは有り得ないのである。従って、石井資生と小林柳吉の合意によって柳吉の所有となった前記繩延地一七坪五合三勺が当然に九九三番の三の土地の一部をなす理はなく、右繩延地は、登記簿上においては、九九三番の三の土地を分筆した後の元地である九九三番の一の土地の一部をなしているものと解すべきであるから、右繩延地を九九三番の三の土地に加えるためには、登記簿上繩延地を九九三番の一から同番の三に移す手続、即ち、九九三番の一の土地についてその地積に繩延地の地積を加える地積の更正の登記、右繩延地についての分筆の登記、分筆された繩延地についての所有権移転(本件の場合には、石井資生名義から九九三番の三の土地の所有者名義人への)の登記及び右分筆された繩延地の九九三番の三の土地への合筆の登記を必要とする。されば、このような手続を経ることなく、さきに小林柳吉が九九三番の三の土地についてした地積の訂正の申告(前記二7参照)及び被控訴人が同土地についてした地積の更正の登記(前記二5参照)は、いずれも違法であって、右訂正又は更正によって増加した地積は、小林柳吉の所有となった繩延地を表示するものとはいうことができず、右更正にかかる九九三番の三の土地について被控訴人名義の所有権の登記がなされているからといって、被控訴人は繩延地一七坪五合三勺についての所有権の取得をもって第三者に対抗することはできないものといわなければならない。

然るところ、控訴人が石井資生所有の九九三番の六の土地とともに建物敷地となっている小林柳吉所有繩延地一七坪五合三勺のうちの一二坪二合七勺の部分を右九九三番の六の土地から分筆してこれを同番の九の土地とし、同土地について、小林柳吉名義による所有権取得の登記を省略し、直接に石井資生名義から控訴人名義への所有権移転の登記を経由したことは、さきに認定したとおりである。上述したように、小林柳吉の所有となった繩延地一七坪五合三勺は、登記簿上においては、当初の九九三番の一の土地のなかに含まれていたものと解すべきであるから、右繩延地の一部である一二坪二合七勺を九九三番の一から分筆された同番の六の南側に接続する部分に求め、当初の九九三番の一の土地から右一二坪二合七勺を控訴人所有名義に移す方法として、九九三番の六の土地から同番の九の土地を分筆することはもとより可能であり、この分筆の手続は、被控訴人がした上述の地積の更正の登記とは異り、決して無から有を生ぜしめたことにはならず、登記の手続としてなにら違法の点はないのである。従って、もし控訴人が実体上においても、右一二坪二合七勺の土地の所有権を取得しているとするならば、控訴人は、九九三番の九の土地について所有権取得の登記を経由することによって、右所有権の取得をもって第三者に対抗することができるわけである。

なお、附言するに、前述した昭和四二年四月二六日の石森土地家屋調査士による実測の結果判明した繩延の総面積三五坪一合のうち、石井資生の所有となった一七坪五合七勺は、同人において昭和三二年七月三一日、九九三番の一の土地について地積の更正の登記をすることによって登記簿上に表示されたこととなるわけであるが(前記二7参照)、その時点においては、小林柳吉の所有となった繩延地一七坪五合三勺については登記簿上なお未表示の状態にあったのであるから、被控訴人が昭和三五年九月一日、当時の自己所有名義の九九三番の三の土地についてした地積の更正の登記は、分筆及び合筆という中間の手続を省略して、上記未表示の繩延地一五坪五合三勺を表示するものとして、被控訴人による右繩延地についての所有権の取得を公示する効力を有するとの見解の生ずる余地がないではない。然しながら、このような見解は、他にこれと競合する登記が存在しない場合における便宜の解釈というべきであるのみならず、小林柳吉の所有となった繩延地一七坪五合三勺のうち少くとも一二坪二合七勺に関する限り、被控訴人が上記更正の登記をした以前である昭和三五年五月二〇日に九九三番の九の土地の分筆の登記が適法になされ、控訴人は、右土地について同年六月二八日、所有権取得の登記を経由したのであるから、この点からしても、被控訴人がした右地積の更正の登記は、被控訴人による所有権取得を控訴人に対抗するための根拠たり得ないものといわなければならない。

(平賀 石田実 安達)

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